現行の金融システムとその限界をわかりやすく解説
金融システムを語る際、歴史的な背景を理解することが重要です。かつてお金は金（ゴールド）を価値の裏付けとしていた時代がありました。しかし、現在ではその裏付けはなく、金融システムは信頼と慣性によって動いています。この点を踏まえて、現行のシステムの限界について見ていきましょう。経済に詳しくない方にも簡単にご説明します。
「国の借金○○兆円！」という誤解
よく耳にする「国の借金○○兆円」「国民1人あたりの借金○○万円」という表現は、一見すると日本が多額の負債を抱えているように見えますが、この言葉だけでは実態を正しく伝えていません。実際には、現行の金融システムは「誰かが借金をすることで、他の誰かが資産を得る」という構造で動いているのです。
お金はどうやって生まれるのか？
まず、経済活動が行われていない状態からお金がどのように生まれるかを考えてみましょう。たとえば、Aさんが銀行から100万円を借りた場合、その100万円はAさんの口座に記録されます。しかし、これは実際の紙幣ではなく、通帳に記帳される数字です。この仕組みを「信用創造」と呼び、金融機関は無から有を作り出すかのようにお金を生み出します。
この時、Aさんには100万円の借金が生じ、同時に100万円の資産が市場に生まれます。AさんがBさんの商品を購入すれば、Bさんに100万円が渡り、資産として記録されます。一方で、Aさんは借金を利息付きで返済するために働き、お金を稼ぐ必要があります。この過程で資金が市場に循環し、経済が動き続けるのです。
現行システムの重要なポイント
現行の金融システムの根幹は次の2つのポイントに集約されます。
- 「お金の流通は誰かの借金から始まる」
つまり、誰かが借金をすることで市場にお金が生まれ、経済活動が進んでいくという仕組みです。 - 「誰かの借金が誰かの資産になる」
借金は単に負債ではなく、他の誰かの資産となる構造です。これによって市場でお金が回り、経済活動が支えられています。
政府の借金と市場への影響
ニュースで言われる「国の借金」は、政府が日本銀行から借金をしている状態を指します。しかし、これは単に負債ではなく、政府が借金をすることで家計や企業に資産を供給するという役割を果たしています。現在、日本銀行は国債の大半を保有しており、国債を担保にしてお金が市場に供給されています。つまり、政府の借金が経済を回すためのエンジンとなっているのです。
この構図を理解せずに「日本の借金が多い」とだけ指摘するのは本質を見誤ることになります。実際、1990年代のバブル崩壊以降、日本は金融引き締めや消費増税により資金の流れが滞り、経済成長が停滞し、長期間にわたるデフレに苦しんでいます。企業や家計の需要が冷え込み、消費や投資が進まない現状は、政府の積極的な資金供給が必要であることを示しています。
このように、金融システムの本質を理解することで、国民の暮らしや経済政策の重要性をより深く認識することができるでしょう。今回の説明が皆さんのお役に立てば幸いです。
