多くの人が悩んでいる「103万円の壁」問題について、
政府がついに動き出しました。
石破茂総理大臣は2025年度の税制改正に向け、
基礎控除の引き上げを含む「103万円の壁」の見直しを議論する意向を表明しました。
この改正がどのような影響をもたらすのか、詳しく見ていきましょう。
103万円の壁とは何か?
「103万円の壁」とは、
給与所得者が年間103万円以上の収入を得ると所得税が課される
現行の仕組みのことです。
このため、
多くのパートやアルバイト労働者は収入を意図的に抑え、
税負担を避ける行動を取らざるを得ない現状があります。
1995年から変わっていないこの制度は、
物価や最低賃金の上昇を踏まえると、
もはや時代にそぐわないとの指摘が強まっています。
現在の103万円では
「健康で文化的な最低限度の生活を営む」ことが困難なため、
多くの国民が生活の質を維持するのに苦労しているのです。
基礎控除の引き上げが必要な理由
日本国憲法第25条は、
「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」としています。
この理念に基づき、
一定の所得には課税しない仕組みとして設けられたのが基礎控除です。
しかし、1995年以降、
基礎控除額は据え置かれたままであり、
最低賃金が約1.7倍に増えた現在では、
生活実態に合わない額となっています。
例えば、
最低賃金が大幅に引き上げられた現在、
労働者がフルタイムで働いた場合でも課税が発生するケースが多く、
結果として手取りが減少するという矛盾が生じています。
この問題を解消するため、
基礎控除と給与所得控除の合計額を
178万円に引き上げるべきだという声が上がっています。
減税の動きと財務省の対応
石破首相の基礎控除引き上げ案に対し、
財務省はその影響を最小限に抑えようとする動きを見せています。
一部では、
減税政策を阻止するための
「特命チーム」が暗躍しているとの報道もあります。
しかし、
減税を実現するには、
地方交付税交付金を通じた地方財政の補填も
セットで進める必要があります。
これがなければ、
地方自治体の運営に支障をきたす恐れがあるからです。
なぜなら地方にはお金の発行権を有しておらず、
国・政府は発行権を有しているからです。
そのため、国民にとっての手取り増を実現するには、
こうした複雑な財政調整も含めた総合的な改革が欠かせません。
国民の役割:注目と声を上げること
今回の税制改正議論は、
国民の「手取りを増やす」ための重要な一歩です。
しかし、減税が他の増税や社会保障費削減で相殺される事態を防ぐためには、
私たち一人ひとりが議論の行方に注目し、
声を上げることが大切です。
「103万円の壁」の見直しは、
単なる税制改革にとどまらず、
公平な税制と国民の財政主権を実現するための象徴的な試みとも言えるでしょう。
この情報が皆さんのお役に立てば幸いです。