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1. 資本主義の前提:マイルドなインフレ
- 資本主義が正常に機能するためには、マイルドなインフレが必要。
- インフレ期には、企業が積極的に借入れを行い、投資を増やし、新たな事業を展開する。
- この活動が経済成長の原動力となる。
2. 日本のデフレ:1998年以降の異常事態
- デフレ期には、物価が下落し、貨幣の価値が上昇。企業は以下の行動を取る:
- 借入れを控える:借入れた資金の返済負担が増加するため、新規借入れを避ける。
- 投資を控える:投資よりも貨幣を保持する方が有利と考える。
- 貯蓄を増やす:借入れをしないだけでなく、内部留保を増やす。
3. 企業貯蓄率の異常な動向
- エコノミストの会田卓司氏の分析:
- 1987年~1990年代半ば(インフレ期):
- 企業貯蓄率はマイナス。
- 銀行からの借入れを元手に積極的に投資を行い、事業を拡大。
- 1998年以降(デフレ期):
- 企業貯蓄率はほぼ一貫してプラス。
- 借入れも投資も行わず、事業拡大を停滞。
- 1987年~1990年代半ば(インフレ期):
4. 資本主義の機能停止
- シュンペーターの理論:
- 経済発展には「新結合」、つまりイノベーションが必要。
- 銀行が無から貨幣を創造し、企業の新しい取り組みに資金を供給することで、イノベーションが可能になる。
- 日本の現実:
- 企業貯蓄率がプラスである期間が四半世紀以上にわたり継続。
- 企業が銀行から借入れを行わないため、銀行の信用創造が機能しない。
- 結果として、新しい事業やイノベーションが起きにくい環境が続いた。
5. デフレの深刻な影響
- デフレの悪循環:
- 物価下落 → 投資減少 → 貨幣流通量減少 → 経済縮小 → さらなるデフレ。
- イノベーションの停滞:
- 新たな産業の創出や技術革新が起きず、経済成長が鈍化。
6. 解決策:デフレ脱却とイノベーションの促進
- インフレターゲット政策:
- 適度なインフレ環境を作り出すことで、企業が再び借入れや投資に動くよう誘導。
- 金融政策と財政政策の連携:
- 量的緩和だけではなく、公共投資や減税によって需要を喚起。
- リスク軽減措置:
- 中小企業の借入れリスクを軽減する制度の導入。
- イノベーション支援:
- 新規事業やスタートアップ企業への資金提供を強化し、技術革新を促進。
7. 結論:日本経済を再生する鍵
1998年以降の日本経済は、資本主義の基本原則である信用創造とイノベーションが機能不全に陥りました。この状態を脱却するには、デフレを克服し、企業が再び投資や借入れを行う経済環境を整えることが不可欠です。そのためには、政府と金融機関の積極的な政策対応が求められます。
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