スポンサーリンク
1. 貨幣循環の主体としての政府
- 民間企業と同様、政府も債務を負いながら支出を行う。
- ただし、政府が債務を負う相手は中央銀行であり、民間銀行ではない。
- このプロセスにおいても、信用創造により貨幣が創造される。
2. 政府部門の貨幣創造プロセス
- 政府の資金需要:
- 公共事業など、社会的な目的を実現するために資金が必要となる。
- 例:道路や橋の建設、医療や教育への投資。
- 中央銀行の貸出し:
- 政府が中央銀行から資金を借り入れることで、準備預金という形で貨幣が創造される。
- 民間銀行が企業に貸出しを行う仕組みに類似しているが、貸し手が中央銀行である点が異なる。
- 政府の支出:
- 創造された貨幣を用いて、政府が建設会社や従業員に支払いを行う。
- これにより、貨幣は民間経済に供給される。
3. 貨幣の流通と循環
- 政府支出を起点として、貨幣が民間部門に供給され、民間経済の中を巡る。
- 例:
- 政府が建設会社に支払いを行う。
- 建設会社が従業員に給料を支払う。
- 従業員が所得を消費に使うことで、貨幣はさらに広く流通。
4. 貨幣の回収と消滅
- 民間部門での貨幣の回収:
- 政府が徴税を行い、税収として貨幣を回収する。
- 税は強制的に徴収できるため、民間企業の収益に依存しない。
- 中央銀行への債務返済:
- 政府は徴収した税収を元に、中央銀行への返済を行う。
- 返済時に貨幣が消滅(破壊)する。
5. 民間部門との比較
- 民間部門:
- 貨幣創造:銀行の貸出し。
- 貨幣回収:事業収益を元にした債務返済。
- 政府部門:
- 貨幣創造:中央銀行からの借入れ。
- 貨幣回収:税収を元にした債務返済。
6. 政府部門の貨幣循環の重要性
- 民間部門の貨幣循環が停滞する際(デフレや不況期)、政府部門が支出を拡大して貨幣を供給することが経済安定化の鍵となる。
- 民間企業が投資や借入れを控える時期には、政府が財政政策を通じて、需要を創出し、経済を下支えする必要がある。
7. 政府部門の貨幣循環と政策への示唆
- 税収を財源とした支出ではなく、貨幣創造を活用した積極的な支出が可能。
- デフレ期における政府の役割:
- 税収不足を理由に支出を抑えるのではなく、経済を拡大するために借入れを活用。
- 必要以上の緊縮財政は、貨幣を破壊するだけでなく、民間経済の活性化を妨げる可能性が高い。
結論
政府部門の貨幣循環は、資本主義経済の安定と成長を支える重要な仕組みです。中央銀行からの借入れを通じた貨幣創造と、それを起点とする公共支出が、民間部門の不足する需要を補完します。政府部門が積極的にこの役割を果たすことは、経済全体の活性化とデフレ脱却への鍵となります。
スポンサーリンク