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バブル崩壊と「信用デフレ」
- 1990年代初頭、日本はバブル経済の崩壊に直面しました。
- 資産価格の暴落は、典型的な「信用デフレ」を引き起こし、民間企業の資金需要を著しく低下させました。
- その結果、銀行による貸出が減少し、貨幣創造が抑制され、経済活動が停滞しました。
初期対応の成功とその限界
- 初期の日本政府は公共投資の拡大などを通じて、経済対策を実施しました。
- 政府が需要を創造し、貨幣供給を増やす政策は正しい方向性でした。
- その結果、1990年代半ばまでは、デフレを回避し、経済成長も維持されていました。
- しかし、これらの対策は規模が不十分であり、貨幣供給を十分に拡大できていなかった点で限界がありました。
橋本政権の政策転換
- 1996年の橋本龍太郎政権は、財政赤字の拡大を懸念して、財政支出の抑制を実施。
- 消費税率を3%から5%に引き上げ、税収確保を図りました。
結果としての負の影響:
- 財政支出の抑制:
- 政府の資金需要を削減し、貨幣供給が減少。
- 経済活動がさらに抑制される結果を招きました。
- 消費税増税:
- 消費税は経済から貨幣を回収し、消滅させる仕組みであるため、デフレ圧力を強化しました。
- これらの政策により、1998年から日本は本格的なデフレに突入しました。
小泉政権から安倍政権にかけての継続的な失策
- 小泉政権(2001年以降):
- 財政支出の抑制を続行。
- 政府による需要創造が停滞し、貨幣供給の拡大が阻害されました。
- 安倍政権(2010年代):
- 消費税率を5%から8%、さらに10%へと引き上げ。
- デフレ圧力をさらに悪化させ、経済成長を阻害する結果となりました。
貨幣循環理論とシュンペーターの視点からの考察
- 貨幣循環理論が示す通り、デフレを脱却し経済を成長させるには、以下が必要でした:
- 政府の積極的な財政支出:
- 政府が需要を創造し、貨幣供給を拡大。
- 公共投資や減税を通じて、経済にインフレ圧力をもたらす。
- 消費税増税の回避:
- 増税は貨幣の破壊を通じてデフレ圧力を強化し、経済活動を抑制します。
- 政府の積極的な財政支出:
- これらの政策を実施する代わりに、財政健全化を優先したため、日本経済は「失われた三十年」と呼ばれる長期停滞を経験することとなりました。
結論
「失われた三十年」の本質的な原因は、政府と政策担当者がデフレのメカニズムを理解せず、適切な財政拡大や経済刺激策を怠ったことにあります。シュンペーターの理論に基づけば、政府の役割は、需要創造と貨幣供給を通じて経済を活性化させることにあります。デフレから脱却し経済成長を実現するためには、財政赤字を恐れず、インフレを適度に許容した積極的な財政政策が不可欠です。
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