2024年が終わろうとしています。今年は「ユートピアニズム」の年でした
2024年も残りわずかとなりました。
今年は、「○○であるべきだ」という理想論、
つまり「ユートピアニズム」が猛威を振るった一年として記憶されることでしょう。
特に、「政府の財政は均衡すべきだ」とする財政均衡主義が、
英独仏の政治を揺るがしました。
イギリス:緊縮財政が招いた政権交代
スナク前政権は2022年11月、
緊縮財政への転換を決断しました。
しかし、その影響で国民が期待した国民保健サービス(NHS)の改善は実現せず、
2024年7月の総選挙で保守党は大敗。労働党に政権が移りました。
新政権も課題は山積です。
2024年度予算に約220億ポンド(約4兆3,000億円)の財源不足が判明し、
暖房費補助の削減やインフラ計画の中止など、
さらなる緊縮策を取る方針です。
今後、増税の可能性も濃厚とされています。
イギリスは独自通貨を持つ主権通貨国であり、
国債で財源を確保できるはずです。
それにもかかわらず、「財源がない」として国民に負担を強いる政策を続けています。
この状況に、思わず「人類は本当に賢いのだろうか?」と
疑問を抱かずにはいられません。
ドイツ:財政政策を巡る内閣崩壊
ドイツでは、ショルツ首相が積極財政を推進する中、
財政均衡を主張するリントナー財務相(自由民主党出身)を罷免。
その結果、自由民主党の閣僚全員が辞表を提出し、
連立政権は崩壊しました。2024年12月15日の信任投票では過半数を獲得できず、
ショルツ内閣は完全に崩壊。
2025年2月末に総選挙が行われる予定です。
フランス:社会保障削減で内閣不信任
フランスでは、
バルニエ内閣が2025年予算案で財政赤字をGDP比6.1%から5.0%に削減する方針を打ち出し、社会保障支出を削減する計画を強行しました。
しかし、この計画は採決なしで採用され、
不信任決議案が可決される事態に。9月に発足した内閣が、わずか3カ月で崩壊する結果となりました。
フランスで内閣不信任が成立したのは、1962年のポンピドゥー内閣以来、実に62年ぶりのことです。
財政均衡主義の危険性
ドイツやフランスはユーロ圏の一員であり、主権通貨国ではないため、財政均衡政策を取らざるを得ない状況も理解できます。しかし、独自通貨を持つイギリスまでもが同様の道を進むのは疑問が残ります。
日本の課題:税金は何のため?
一方、日本でも似た問題が指摘されています。
2024年度の税収は過去最大の約78.4兆円が見込まれていますが、
その多くが消費税によるものです。
消費税は今や、法人税や所得税を上回る日本最大の税収源となりました。
しかし、「税金は何のために使われるのか?」という国民の疑問に対し、
政府は「財政赤字が深刻である」と説明するばかりです。
果たして、本当に「財政再建」が必要なのでしょうか?
2025年は新しい財政観を!
財政均衡や黒字化を目指すべき時期もあるかもしれませんが、
少なくとも今はそのタイミングではないでしょう。
2025年こそ、この「狂った財政均衡主義」から脱却し、
国民がより豊かに暮らせる政策を考えるべきです。