経済の話題

PB黒字化をめぐる議論:緊縮財政の影響と現実的な対応策

中長期の経済財政試算発表を前に考えるプライマリーバランス(PB)問題

多くの人が日本の財政問題に不安を抱える中、今回はその解決策を考える一助となる話題をお届けします。政府による「中長期の経済財政に関する試算」の公表時期が近づいており、日本の財政現状を把握するための重要な指標が示される予定です。しかし、前回2024年7月に公表された試算内容には、現実性に疑問を抱く声が多くありました。


楽観的すぎた2024年7月の試算

2024年7月の試算では、2025年度にプライマリーバランス(PB)が黒字化するとされましたが、この予測は非常に楽観的なものでした。具体的には、2024年度のPB赤字がGDP比で3%(約18兆円)に達すると見積もられています。この規模の赤字を1年で解消するには、GDPの3%以上の成長を犠牲にする必要があります。

例えば以下のような極端な施策が必要になるでしょう:

  • 政府支出を9兆円削減
  • さらに9兆円の増税

これらを実行すれば確かにPBの黒字化は可能かもしれませんが、その代償として日本経済や国民生活に深刻な悪影響を及ぼすことは避けられません。


電気・ガス料金補助の影響は限定的

最近、「電気・ガス料金補助の再開」が財政悪化の一因とされる報道がありました。しかし、このような一時的な支出がPB赤字の大きな要因になるとは考えにくいのが現実です。根本的な問題は、構造的な財政課題や経済成長の停滞にあります。


「PB黒字化」の現実とその背景

2025年度のPB黒字化目標は、財務官僚が政府支出削減を進めるための戦略的な意図によるものとの見方もあります。この目標が掲げられることで、緊縮財政を既成事実化するための材料として使われている可能性があります。しかし、現実的にこの目標を達成するのは極めて困難です。


今こそ議論すべき「PB黒字化の是非」

PB黒字化が達成できないとしても、それが日本経済にどのような影響を及ぼすのか、冷静な議論が必要です。むしろ、そもそもPB黒字化を目指すことが適切なのか、という根本的な問いを考える時期に来ています。


結論:現実的な財政政策の構築を目指して

PB黒字化目標は、過度な緊縮財政を推進する道具となり得ます。多くの国民が「PB目標が未達でも経済的には大きな問題ではない」という事実を理解し、冷静に議論を進めることが重要です。

2025年度の「骨太の方針」の閣議決定に向け、現実的な財政政策を推進する環境を整えることが求められます。経済政策の再構築に向けた行動を今こそ起こすべき時です。この情報が皆さんのお役に立てば幸いです。