多くの人が「賃上げが必要」と考えていますが、それを決めるのは政府なのか、企業なのか。最低賃金の設定は必要ですが、基本的に賃金を決めるのは経営者です。
しかし最近、政府が企業に「賃上げしろ」と要請する場面が増えています。これは本来の市場原理に反するのではないでしょうか? 石破政権の方針をもとに、政府の役割と経営者の視点から賃上げの問題を考えます。
政府は賃金を決めるべきではない
政府の役割は、最低賃金という「規制」を設定することまでです。企業の賃金は、各社の経営状況に応じて決めるべきものであり、政府が「賃上げしろ」「生産性向上の投資をしろ」と求めるのは筋違いです。
もちろん、政府が需要を拡大し、企業が賃上げしやすい「環境」を整えるのは重要です。しかし、直接企業に賃上げを要請するのはまるで社会主義国家のような話です。
政府の矛盾:「賃上げ要請」と「財政均衡主義」
興味深いのは、普段「社会主義はダメだ!」と主張している人々が、安倍晋三元総理の経団連への「賃上げ要請」には拍手喝采だったことです。
しかし、この政策は 「政府が企業の給与に口を出す=社会主義的な発想」 であり、同時に 「財政均衡主義」 の表れでもあります。
なぜなら、政府が財政支出を抑えながら国民の可処分所得を増やそうとすると、 「企業に賃上げをお願いする」以外の方法がなくなる からです。つまり、責任を民間企業に押し付ける構造になっているのです。
日本経済の現実:賃上げだけでは解決しない問題
現在、日本では賃金が上がらない一方で、生鮮食品やエネルギーなどの生活必需品が値上がりし、実質賃金(手取り)が減少しています。
この状況を受け、国民民主党などは「基礎控除の引き上げ」や「ガソリン税の廃止」などを提案し、国民からの支持を得ています。
しかし、石破政権は「減税」より「賃上げ」を重視する方針を示しました。
石破総理の発言(要約)
「物価高対策として賃上げこそが成長戦略の要であり、所得と生産性向上を図る施策を進める」
このように、政府は「賃上げで物価高に対応する」という考えを持っています。しかし、これは本当に現実的なのでしょうか?
中小企業にとっては厳しい賃上げ政策
確かに、大企業は人手不足もあり、賃上げの余裕があるかもしれません。しかし、日本の雇用の7割を担う中小企業にとって、これは簡単な話ではありません。
経営者の視点からすれば、「賃上げは政府の仕事ではなく、企業の判断で決めるべきこと」です。
利益が増えず、景気が停滞したままでは、生産性向上の投資や賃上げをする余裕などありません。政府が「賃上げしないのは企業の責任」と非難するのは、単なる責任転嫁に過ぎません。
もし中小企業が「無理です」と言ったら、政府はどうするのか?
「賃上げしないお前らが悪い!」と責めるのでしょうか?
しかし、財政均衡を続ける限り、政府にはそれしか選択肢がないのです。
国民が求めるのは「手取りを増やすこと」
政府が賃上げを推奨する理由は、「国民の所得を増やしたいから」です。しかし、本当に必要なのは 「手取り(可処分所得)を増やすこと」 ではないでしょうか?
減税や社会保険料の引き下げといった政策を組み合わせれば、賃上げに頼らずとも国民の手取りを増やせます。しかし、石破政権は「財政事情」を理由に減税には消極的です。
このまま「賃上げ要請」に頼る政策を続けると、企業の負担が増え、最終的に国民も苦しむことになります。
本当に大事なのは、国民の生活が豊かになること。
そのためには「減税」「控除の拡充」「社会保険料の引き下げ」など、可処分所得を増やす政策が求められています。
この情報が皆さんのお役に立てば幸いです。