【2024年の経済成長率は0.1%増? 中身を見てわかる実態と必要な政策】
内閣府が発表した2024年通年の実質GDP成長率は、前年度比+0.1%。
エコノミストの間ではマイナス成長が確実だとささやかれていただけに、プラス成長は意外感があるようにも思えます。しかし、誤差レベルとも言えなくはありません。
今回、2024年10~12月期(季節調整済み)の実質GDPは前期比+0.7%増、年率換算で+2.8%増となり、これが通年成長率を押し上げました。とはいえ、その数字だけでは本当の経済状況は見えてきません。
GDPの内訳
内閣府が公表した項目別の数字は、以下のとおりです(前年比)。
- 民間最終消費支出:▲0.1%
- 民間住宅:▲2.3%
- 民間企業設備:+1.2%
- 政府最終消費支出:+0.9%
- 公的固定資本形成:▲0.9%
- 財貨・サービスの輸出:+1.0%
- 財貨・サービスの輸入(控除):+1.3%
結果として、国内需要が+0.2%、外需が▲0.1%、最終的に全体として+0.1%増という成長率でした。
個人消費は下がったものの、設備投資がわずかに伸びたため、ギリギリでプラスに踏みとどまった格好です。
デフレータから見る物価上昇
2024年通年のGDPデフレータ(物価上昇率を示す指標)は+2.9%。一方、輸入デフレータは+3.5%でした。
通常、輸入物価が上がるほど、国内GDPデフレータにはマイナス圧力がかかります。にもかかわらず、全体のデフレータが+2.9%と比較的高い数字になったのは、それを上回る国内要因の物価上昇が起きていることを意味します。
高度成長期のGDPデフレータが平均+5%だったことを考えると、+2.9%は過去のデフレ期に比べれば高い水準と言えます。しかし、その一方で実質GDP(経済成長率)がほぼゼロに近いのは、所得(実質面)が増えないまま物価だけが上昇している——いわゆるスタグフレーション的な状況が進んでいるといえるでしょう。
政府に求められる政策
実質所得が増えないのに物価だけが上がる状態から抜け出すには、国民の可処分所得を増やし、同時に物価上昇への対策を講じる必要があります。具体的には、以下のような施策が考えられます。
- 消費税の減税または廃止
- 所得税の控除拡大
- 電気代・ガス代への補助金再開
- ガソリン税の暫定税率廃止、またはガソリン税そのものの廃止
こうした政策を実行できないのなら、そんな政府はいったい何のために存在しているのか——国民からすれば疑問を抱かざるをえません。
まとめ
2024年の経済成長率は、速報値ではプラス0.1%だったものの、内訳を詳しく見れば個人消費の落ち込みが顕著です。さらに、高めの物価上昇(GDPデフレータ+2.9%)が、実質の所得を圧迫しています。
本来、こうした局面でこそ政府の役割が重要になるはずです。国民を支える積極的な財政政策を打ち出し、家計の可処分所得を増やし、物価上昇への対策を行うことで、経済を回復軌道に乗せられるかどうか。
「実質所得が増えずに物価だけが上がる」現状を放置すれば、生活苦はさらに拡大するでしょう。政府がこのまま何もしないのか、それとも大胆な政策に踏み切るのか——今まさに、その転換点に差しかかっています。