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「令和のコメ騒動」が示した日本の農業危機──減反政策のツケとこれからの対策とは?

多くの人が悩んでいる「コメの価格高騰と品薄問題」。今回はその原因と、本当に必要な対策についてわかりやすく解説します。

昨年の夏、日本は「令和のコメ騒動」と呼ばれる異常なコメ価格の高騰に直面しました。これを受けて農林水産省は、「来年の新米が出回れば価格は下がる」と説明。しかし、現実はそう簡単にはいきませんでした。

価格が下がらなかった理由を、農水省は「誰かが投機的にコメを買い占めているのでは」といった、根拠のない推測にすり替えてしまったのです。

さらに、「備蓄米を市場に放出すれば、隠されていた米が出回って価格が落ち着く」とも考えました。しかし、実際に備蓄米の放出が発表されても、コメの価格はほとんど下がらず。これは当然の結果です。なぜなら、今の日本はそもそも**コメの生産が追いついていない=「供給不足」**の状態だからです。

コメを必要とする業者は、不足を見越して余分に確保しようと動きます。これが連鎖的に供給不安を加速させ、価格上昇に拍車をかけています。しかし、根本的な問題はそこではありません。

本質的な原因は、**農水省が50年以上も続けてきた「減反政策(げんたんせいさく)」**です。これは、コメの生産量を意図的に減らすことで価格を維持するという政策。かつて日本は年間1,400万トンのコメを生産していましたが、今ではその半分の約700万トンまで減少しています。

農家にとって、コメを作っても生活が成り立たない現状では、農業を続けるモチベーションも下がります。その結果、兼業農家が増え、農家の高齢化も進行。現在、コメ農家の平均年齢は70歳を超えているのです。

このままでは、日本の食料安全保障が危うくなり、安価な外国産米が市場に大量に流入する未来が目に見えています。

ではどうすれば良いのか?
欧州ではすでに導入されているように、農家に対する「所得補償(直接支払い)」の仕組みが必要です。これにより、農家は安定した収入を得ながら、生産を維持することができます。米国式の価格保証はWTO(世界貿易機関)に違反する可能性があるため、ヨーロッパ方式が現実的な選択肢です。

しかし、財務省は緊縮財政の立場を崩さず、この制度導入には消極的。農家も、農協も、そして私たち国民も、その影響を直接受けて苦しんでいます。

今回の騒動が示した最大の成果は、「日本のコメの生産能力が、需要を下回るインフレギャップに突入した」という厳しい現実が広く知られたことです。
これは偶然ではなく、長年の政策の積み重ねによる“必然”だったのです。


まとめ

この情報が皆さんのお役に立てば幸いです。
今こそ、農家が安心してコメ作りに取り組める環境整備が求められています。農家を責めるのではなく、正しい政策の実現に向けて、私たち一人ひとりが関心を持つことが大切です。

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