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『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』

『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』は、データに基づいた世界の正しい見方を提唱する一冊です。著者のハンス・ロスリングは、広く行き過ぎた誤解と先入観に立ち向かい、私たちが抱える10の思い込みを明らかにしています。

多くの人は、世界がますます危険になり、貧困が拡大し、環境が悪化していると考えがちです。しかし、統計データを見ると、実際には世界は改善しているのです。例えば、極度の貧困にある人の割合は過去20年で半減しました。このような事実に基づく洞察が、『ファクトフルネス』で紹介されています。

ロスリングは、私たちの誤った世界観が、長い進化の過程で形成された本能によるものだと指摘しています。特に「ドラマチックな物語を求める本能」が、事実よりも煽情的なストーリーに目が行きがちになるため、誤った認識が生まれやすいのです。本書では、こうした本能を意識し、データに基づいた現実の見方を身につけるための方法を提案しています。

また、ロスリングは世界を所得レベルに基づく4つのグループに分けて考えることを提案しており、それにより多くの誤解が解消されると説明しています。たとえば、私たちが「途上国」と一括りに考える多くの国々が、実際には中所得層や高所得層に属していることが多いのです。

この本を通じて、読者は「世界はどんどん悪くなっている」という一般的なネガティブな見方を超え、より客観的でバランスの取れた視点を持つことができるようになります。ネガティブ本能を抑え、小さな進歩を認識することで、世界に対する新しい理解が深まるはずです。

『ファクトフルネス』は、自分自身の先入観を見直し、データに基づいた冷静な判断を行うための非常に有用なガイドです。ハンス・ロスリングの洞察は、誰もが直面する日々の誤解を解く手助けとなり、より良い未来への第一歩となるでしょう。

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