経済の話題

日銀当座預金の所得化って何?

はじめに

前回の経済編の記事では、
貨幣乗数について
確認をしましたよね。

貨幣乗数はマネーストックが
マネタリーベースの何倍になるのか
を示したもの。

インフレ率を上昇させるためには
あくまで財やサービスの購入が増え
需要が増加しなければならない。

という話でしたよね?
思い出してもらえました?

今回は
日銀当座預金の所得化について
整理していきましょう!

日銀当座預金の所得化とは?

既にご理解いただいているでしょうが
日銀が最初に発行するお金である
日銀当座預金は
私たちが使えないお金です!

何しろ私たちは
日銀に口座を持っていないためです。

銀行預金を持っていない人に
銀行振込が出来ないんだのと同じですね。

もっとも日本には
一つだけ日銀当座預金を借りて
私たちの所得、
厳密には銀行預金の
口座残高に変えることができる
存在があります。

それが日本政府です。

2020年に行われた、
国民一人あたり10万円の給付、
特別定額給付金を思い出してください。

特別定額給付金は
どのようなプロセスで
私たちの手元に届いたのでしょうか。

まずは、
日本政府が国債を約13兆円発行し、
一般の銀行つまりは市中銀行から
日銀当座預金を13兆円借り入れます。

というわけで、
政府は国債と引き換えに
13兆円の日銀当座預金という
資産を持つことになります。

ところが政府は
日銀当座預金を私たちに配ることが
できません。

というわけで、
政府は私たちが口座を持つ
市中銀行に国民一人当たりの
口座残高を10万円増やして欲しいと
依頼します。

市中銀行は政府の指示に従い
私たちの銀行預金の
口座残高を一人あたり10万円
増やしました。

ただ、銀行預金は
市中銀行にとっては負債になります。

そのため、
銀行は政府指示を受け、
自らの負債を
国民一人あたり
10万円増やさせられたことになります。

当然ながら銀行は
政府に対し政府の指示で
増やした自分の負債を
清算して欲しいと
依頼します。

すると、
日本銀行が政府の日銀当座預金の
口座残高を減らし、
逆に市中銀行側の
口座残高を増やしてくれます。

これで精算完了です。

この流れでは、
・国債
・日銀当座預金
・銀行預金
が動いている印象に
なってしまいますが、
実際にはものは
何一つ動いていません。

動いたのは情報のみなんです。

情報が動き、
経済自体の国債保有残高や
預金残高が増減することで
私たちに一人10万円の
特別定額給付金が生まれたのです。

ちなみにメディアなどでは
政府は国債を発行し
国民の銀行預金を
借りていると言った
内容が言われる場面があります。

でも、2020年の
特別定額給付金の
給付プロセスをすれば、
政府は国民の預金を
借りているが嘘であることが
わかりますよね。

実際には真逆です。

政府が国債を発行すると
逆に国民の銀行預金が
増えてしまう
つまりは日銀当座預金という
私たちが使えないお金を借り
私たちが使える
お金にすることが可能なのは政府だけなのです。

今の日本はデフレという総需要不足、
GDP三面等価の原則により
需要不足イコール所得不足でもあります。

だからこそ、
政府は国債を発行し
私たちの手元のお金を増やさなければならない。

それこそが過去に効果が確認された
唯一のデフレ対策とされています。

まとめ

  • 国民は日銀当座預金口座を持っていないので、
    市中銀行の銀行口座に変換される必要がある
  • 政府が国債を発行すると
    逆に国民の銀行預金が
    増えてしまう

おわりに

今回の内容はかなり
衝撃的でした。

よく言われている、
国の借金とされる、
政府支出が行われることで、
国民の銀行預金は増えることになる。

この事実が広まると、
国の借金が~
などの話の受け取り方が
変わってきますよね。

微差を積み重ねていきましょう!