はじめに
前回の経済編の記事では、
生産性について
確認をしましたよね。
生産性とは、
財や付加価値の生産の量の
事を指していること。
また、
労働生産性は従業員一人当たりの
付加価値を指し、
その生産性が向上し、
生産者一人当たりの
付加価値が増えると
一人当たりの所得も増える。
という話でしたよね?
思い出してもらえました?
今回は
労働分配率について
整理していきましょう!
労働分配率とは?
GDP三面等価の原則により
付加価値の生産は
所得とイコールになります。
ただし、
実質的な所得を増やすためには
付加価値の生産量を
拡大しなければならない事は
把握してもらえたかと思います。
つまりは、
生産性の向上です。
最も、
生産性が向上したとしても、
企業が給料を増やすことに躊躇して、
・内部留保
・配当金の支払い
にお金を回してしまうと
従業員の実質賃金は上昇しません。
というわけで、
企業が稼いだ
付加価値の何割が
従業員など働き手の
所得に回されたのかが
重要になるわけです。
すなわち労働分配率です。
企業の損益計算書は
まずは売上があります。
そこから、
売上原価いわゆる仕入れ
を差し引き、
粗利益を計算します。
大雑把に言うと
粗利益が企業が生産した付加価値です。
以前、分配面のGDPと
損益計算書で解説しましたが、
企業が生産した
付加価値は主に
・人件費
・投資の原価償却費
・利益
に分配されることになります。
そして、
法人税を支払った
残りの純利益から
配当金が支払われることに
なるわけです。
21世紀に入って以降の日本では
株主資本主義が浸透してきました。
企業は、
株主のものであり、
株主の果実である
配当金を増やすことこそが
企業の目的とされたわけです。
そうなると、
必然的に企業が生産した
付加価値から配当金の減資になる
利益への分配を増やす
という話になりますよね。
ただデフレで、
全体的な需要が伸びず
売り上げが低迷する中で
利益を拡大するとなると
何がおきるでしょう?
当然ながら、
人件費や投資に分配される付加価値、
所得が減少していることになります。
労働分配率は、
人件費÷付加価値で計算されます。
ここで言う、
人件費とは
・従業員給与
・賞与
・役員給与
・福利厚生費
を合計したものです。
日本の労働分配率は
高度成長期は低くなっています。
理由は、
当時は資本蓄積がいまだに
不十分だったため、
企業はかせいだ付加価値の多くを
投資に回す必要があるためです。
問題は、
21世紀に入って以降
労働分配率が中期的に
低下傾向にあることです。
日本の労働分配率は、
1999年度に75.7%でピークを打ち
そのうち下がり始めます。
2008年度と2020年度には
一時的に高くなっていますが、
その理由としては、
リーマンショックやコロナにより
企業の粗利益、
つまりは付加価値が
激減してしまいました。
そのため、
分母の付加価値が減った
にもかかわらず
簡単に人件費を削ることはできないため
例外的に労働分配率が上昇しただけです。
株主資本主義が続く限り、
今後企業の生産性が向上し
生産される付加価値が拡大した
としても、
そこで働く従業員の実質賃金は
低迷するということはありえます。
労働分配率が下がり続けると
国民の実質賃金は伸びません。
まとめ
- 労働分配率とは、
企業が稼いだ
付加価値の何割が
従業員など働き手の
所得に回されたか - 労働分配率は、
人件費÷付加価値で計算される - 日本の労働分配率は、
1999年度に75.7%でピークを打ち
そのうち下がり始めています
おわりに
今回の内容は
イメージしにくい言葉ですよね。
制度などで、
労働分配率が
上がらないのであれば、
そのように投資の
流れを個人でも
考える必要がありますね。
微差を積み重ねていきましょう!