信じ切る力:生き方で運をコントロールする50の心がけ
著者:栗山 英樹
元プロ野球監督の栗山英樹氏が自身の経験を元に、信じることの大切さを語る一冊です。WBCや北海道日本ハムファイターズの監督時代、そして自身の選手時代のエピソードを交えながら、選手たちのパフォーマンスを最大限に引き出すための考え方を紹介しています。特に、「信じ切る力」が人間関係やコミュニケーションにおいていかに重要かを説いています。
信じることの力
栗山氏は、信じることがすべての結果に納得をもたらすとしています。どんな結果が出ようとも、まずは信じることから始めることが大事だと述べています。実際、WBCでの経験からも、選手たちに「信じている」と伝えることの重要性を強調しています。信じることで、選手たちにその思いが伝わり、結果として素晴らしいパフォーマンスが生まれるのです。
メキシコ戦での決断
WBCの準決勝、メキシコ戦で日本が4対5で負けていた時、栗山氏は選手たちを信じ切っていました。9回裏の場面で、先頭バッターの大谷翔平がツーベースヒットを放ち、続く吉田正尚が四球を選びました。次のバッター、村上宗隆はこの日4打席3三振。しかし、栗山氏は村上を信じることにしました。最後に誰で負けても納得できるかを考えた時、それが村上だったのです。「お前でやられたら、オレは納得がいく」。この決断が「信じ切る力」の真髄であり、どこまで本気で信じられるかが問われるのです。
常識にとらわれない信念
栗山氏は、自分で見て感じたことを信じる大切さも説いています。例えば、大谷翔平の「二刀流」に対しても、当初から疑うことなく信じていました。多くの批判がある中でも、大谷選手の本質を信じ、周囲の常識にとらわれない姿勢を貫きました。信じ切ることで初めて答えが見えてくるのです。
成功への道
「信じる」と「信じ切る」は、「なりたい」と「なる」の違いに似ているかもしれません。「なる」と決めた瞬間から、日々の行動や練習が変わり、具体的な目標が見えてくるのです。一流選手は「できるか、できないか」を考えるのではなく、「こうやりたい」というイメージから始めます。
相手を変える力
信じることは相手を大きく変える力を持っています。信じることで相手の潜在能力が引き出され、結果として素晴らしいパフォーマンスが生まれるのです。信じることが先にあり、結果はその後についてくるものであると栗山氏は述べています。
見返りを求めない信じ方
最後に、信じることにおいて見返りを求めない姿勢の重要性を強調しています。チームが勝つために誰かを信じるのではなく、純粋にその人を信じることが大事なのです。信じ切ることで、相手も自分が信じられていることに気づき、パフォーマンスが向上します。信じること、信じ切ることは、自分のためではなく、相手のためであるべきだと栗山氏は説いています。