賢者の習慣
著者:アーノルド・ベネット
知的生活を送るための考え方
『賢者の習慣』は、イギリスを代表する小説家アーノルド・ベネットによる自己啓発書です。知的活力を養う方法や自分の強みを活かす方法、人生を心ゆくまで味わう秘訣など、日常の心構えについて書かれています。ベネットは、知的生活を送るために必要な考え方や習慣を詳細に述べており、読者が自己成長を遂げるための指針を提供しています。
意志の力こそが大切
人間の体は変調をきたしやすいですが、鍛錬すれば体調を保てるようになります。一方で、頭の調子を一定に保つのは一層難しいです。しかし、体調以上に頭脳の鍛錬の効果は顕著に現れます。
毎日24時間のうち、仕事に使っているのは6〜7時間にすぎません。たるみ切った頭脳を活性化し、知識と感激を我が物にしたいなら、知りたいという衝動と努力と方法が必要です。しかし、多くの人はそれを実行に移しません。
人々が知識を求めないのは、知識欲がないためではなく、意志の力がないためです。特に、事を始めるための意志の力ではなく、継続して行おうとする意志の力が不足しています。頭脳の器官が錆びついて調子が悪くなっていることも原因です。
改善には、意志の力を養うことと頭脳の器官を良い調子に戻すことが必要です。これらは並行して行う必要があります。
知的活力を伸ばすためにまずやるべきこと
重要なのは方法ではなく、方法を用いる際の心構えです。適切な心構えは、自分自身を様々な角度から注意深く考察し、認識することによって得られます。自分の気質の限界、置かれている状況、過去から得た教訓を最初に知ることが重要です。
以前に自己啓発を試みて失敗したことがあるなら、それは次の3つの原因のいずれかによるものです。
- 最初からあまりに多くのことをやろうとしすぎた
- 友人たちの皮肉な嘲笑
- 毎日の生活を再調整しなかった
自己啓発にあたって最も重要な能力は、精神を集中させる能力です。何でも良いので1ページ読み、読んだことについて思い出せることをすべて書き記すことも良い頭の体操となります。
頭を効率的に働かせるためには、書く訓練が不可欠です。ものを書く技術は、どんな計画にとっても重要です。頭脳の効率的な働きは、常に思索に耽ることによって得られます。やろうと決心した道を粘り強く突き進むことで、人は幸せになりやすいのです。
自分の人生に真正面から向き合って生きる
人は仕事に逃げ場を求めることがありますが、人生に対する最大の罪は、人生から逃避しようとすることです。この罪を犯せば、本物の幸福を逃してしまいます。本物の幸福は、快楽や満足感、諦観からは得られません。善悪の判断力は、悪い行いだけでなく、善い行いによっても麻痺することがあります。
幸福の定義は、自分で考えなければなりません。自分の能力が長い間使われずにいるなら、それは「満足の状態」とは言えません。満足の基本は、持てるすべての能力を存分に活用することです。
しかし、能力を活用することが必ずしも幸福や富裕、安定に結びつくわけではありません。幸福とは、「精一杯、ひたむきな努力をした後に得られる満足」を指します。誰しもミスや重大な過失を経験しますが、死ぬ間際に「馬鹿な真似をした」と認めても、それでも幸せなのです。
一方で、人生の重要な挑戦に応じなかったことを後悔しているなら、満足できず、幸福とは言えません。人生の最後に「勇気がなかった」と後悔するよりも、不幸な一生を送る方が幸福とも言えます。
まとめ
『賢者の習慣』は、知的生活を送るための考え方や習慣を詳述する一冊です。意志の力を養い、頭脳を鍛え、自己啓発を継続する方法を学ぶことで、知的活力を高め、豊かな人生を送るための指針となります。読者はこの本を通じて、自分の強みを活かし、人生を心ゆくまで味わうための秘訣を得ることができます。