はじめに
前回の経済編の記事では、
資本蓄積について
確認をしましたよね。
多くの資本や技術は、
人が働き生産することで
誕生します。
そして、人が働き、
さまざまな資本を生産し、
それを次の生産活動のために
投じることで
人一人当たりの生産量は
激増する。
という話でしたよね?
思い出してもらえました?
今回は
生産諸力について
整理していきましょう!
生産諸力とは?
前回、
財やサービスの生産をするためには
技術を含めた資本が
重要であると解説しました。
ただ、
本当に資本だけで
良いんでしょうか。
例えば、
私が10億円で工場を
建設したとします。
実際問題は、
銀行が貸してくれるとも
思えませんが。笑
とにかく、
10億円で工場を建設しました。
これは立派な資本ですよね。
工場を建設して
製品を生産しようと
したところが
交通手段がなく原材料が届かない。
それどころか、
・電気
・ガス
・水道
が通っていない
ライフラインがなく
生産できなくて
困っていたら
悪い人がやってきて
工場を占拠してしまった。
追い出そうにも
訴える先がなく、
お金を使って何とか解決して
ようやく生産できたと思ったら
王族の使者が訪れて
工場を占拠すると
宣言されてしまいました。
しかも、
何の補償もないとします。
これは、
ひどすぎでしょといった
環境下で私たちは真剣に
投資をしようとおもいますか?
ありえません。
何しろ身銭を切って
あるいは借金をして
投資したところで
全然利益にならない。
それどころか暴走をする
可能性すらあるのですから。
というわけで
現実の経済は資本の下に
基盤としてさまざまな
インフラストラクチャーあるいは
制度が存在している必要があるのです。
その種の基盤がないと
資本の蓄積は進みません。
資本蓄積がないと
生産性が高まらず
みんな貧乏なままということになります。
人々に投資を促す
さまざまな社会的な基盤のことを
ドイツの経済学者である
フリードリッヒ・リストは
生産諸力と名付けたのでした。
リストは
ヨーロッパの経済が
アジアと比べて発展したのは
・アルファベットの存在
・印刷機
・郵便
・貨幣
・暦
・時計の発明
・治安警察
・自由な土地所有制度
・運送手段
などが理由と解説しました。
考えてみれば所有権が
保障されていない
理不尽なことをされても
訴える先がない、
捜査してくれる機関もないような国で
投資が増えるはずがありません。
しかも、
みんなが話している言葉や
貨幣の単位がバラバラで
長さを説明しようとしたとして
さまざまな尺度が入り乱れていて
意味不明であったり、
カレンダーや時計の見方も
共通ではない。
そんな環境で
工場を創業するとなると
これはもうめちゃくちゃに
なりそうですよね。
というわけで
交通インフラやライフラインは
もちろんのこと貨幣、
司法制度、
財産権の保障など
資本蓄積のためには
その下に位置する
様々な社会制度や固定資産が
必要になるわけです。
これをリストは
生産諸力と呼んだのです。
生産諸力を整備し
厚みを増すためには
共同体の力が必須になります。
それはまあ、
司法制度を個人で
決められるはずもないし
高速道路を一人で建設しろと
言われても困りますよね。
共同体として生産諸力を整え
人々が投資し資本を
蓄積するそれこそが経済成長の根幹なのです。
まとめ
- 交通インフラやライフラインは
もちろんのこと貨幣、
司法制度、
財産権の保障など
資本蓄積のためには
その下に位置する
様々な社会制度や固定資産が
必要になる。 - これらのことを
リストは生産諸力と呼んだ
おわりに
今回の内容も
イメージしにくい言葉ですよね。
資本蓄積を行うにあたっても、
制度や周囲の環境も
改めて重要であることが
認識できますよね。
微差を積み重ねていきましょう!