老後2,000万円問題に代表されるように、
シニアが生涯ゆとりをもって暮らすためには、
必要な資金を巡る懸念が尽きません。
最近は長生きリスクという言葉まで登場していて、
現役生活を終えた先に幸せなリタイア生活を
思い描くことさえ難しいです。
長生きは自体が悪いということではありませんが、
経済面だけで考えると、
支出が増加することからリスクと
言われているわけですね。
そんな中、
無理せず余裕資金を確保する方法として
リバースモーゲージが注目を集めています。
リバースモーゲージって ?
世の中でリバースモーゲージと呼ばれるものを大別すると、
通常のリバースモーゲージと、
リバースモーゲージ型住宅ローンに分けられます。
① リバースモーゲージ
ここでいう通常のリバースモーゲージは
自宅を担保に必要な生活資金等を
借りられるローン商品全般を指しています。
その中には公的なものと、
民間金融機関が行っているものの2種類があります。
このうち、
公的なリバースモーゲージは
高齢の低所得者世帯を支援するような制度であり、
利用者が限定されています。
対称的に、
民間金融が扱うものはより多くの利用者を
対象とした制度となっています。
リバースモーゲージを利用すると、
自宅に住み続けたまま、
自宅を担保としてお金を借りることが可能です。
リタイア後の資金に不安がある人にとっては、
生活資金に余裕を持たせる選択肢の一つと言えます。
一般的なリバースモーゲージでは、
利用者が生きているうちは
元本を返済する必要がありません。
利息については、
契約によって毎月支払いが必要な場合と、
最終返済時に元本と合わせて返済するため
生前中の支払いが不要な場合があります。
契約者が死亡した後は、
担保に入れた自宅を売却することで
完済されるのが一般的ですが、
遺族が自己資金で元利金を返済すれば
自宅を引き継ぐことも可能です。
② リバースモーゲージ型住宅ローン
リバースモーゲージ型住宅ローンは、
先程紹介したリバースモーゲージの
住宅ローン版というべき仕組みです。
通常の住宅ローンであれば
元本と利息を合わせて返済をしますが、
リバースモーゲージ型の住宅ローンでは、
返済期間中は利息のみを支払います。
元本の返済は契約者が死亡した際に
相続人が自己資金で返済するか、
自宅を売却して返済するかを選択します。
いずれにしてもリバースモーゲージとは
シニアが自宅を担保にお金を借り、
生きている間は利息のみ支払い、
死んだら自宅を売って精算するシステムと言えます。
代表的な使い方って?
リバースモーゲージの中でも、
とくに金融機関が独自に提供している商品は
原則として使途を限定していないケースが多く、
借入金はさまざまな用途に使用できます。
代表的な使い道としては生活資金や
医療・介護費など定常的にかかる
費用が挙げられるが、
ほかにも自宅の改装費用や、
老人福祉施設の入居一時金などに充てることも可能です。
使途が限定されていないことから、
リタイア後の趣味や旅行などに活用することにもできます。
デメリットは ?
リバースモーゲージは非常に便利ですが、
デメリットもあります。
自分が想定より長生きした場合に
資金計画が狂いかねないほか、
金利の変動リスクも避けられません。
担保にしている不動産の価値が
下落した際には融資限度額を見直されるリスクもあるし、
下落幅によっては途中で返済が
必要になる可能性もあります。
また、
リバースモーゲージの契約にあたっては、
推定相続人全員の同意を求められるケースが少なくない。
これは、
契約者の死亡後は、
相続人が担保不動産を売却するなどして、
残債を完済する必要があります。
推定相続人の同意は
法的に定められているものではありませんが、
たとえ同意が必須条件になっていない場合であっても、
相続時のトラブルを避けるために、
リバースモーゲージを利用する際には
推定相続人全員に制度の内容を説明した上で、
同意を得ておくことが望ましいと言われています。
メリット
デメリットは無視できませんが、
その分リバースモーゲージにはメリットも多いです。
これまで紹介してきた通り
リバースモーゲージは毎月の支払金額が小さいため、
リタイア後の生活で支出を抑えられるのはなによりの利点になります。
公的なものでない金融機関による商品は、
利用者が死亡しても配偶者が契約を引き継げるようになっているのが
一般的であるため、
遺された家族が住居に関する不安に悩まされることもありません。
また日々の生活費をリバースモーゲージで捻出すれば、
退職金や預貯金など手元のまとまった
資金を使わずに確保しておけます。
リタイア後に収入源がなくなる人にとっては、
万が一の時のためにまとまった資金をとっておけるのは
心強いと言えます。
また、相続人がいない場合や、
その他さまざまな事情で自宅を残す必要がない場合は、
リバースモーゲージ型の住宅ローンを活用して
リタイア生活を充実させることもできます。
情報を把握して賢い選択を
リバースモーゲージには
メリットもデメリットもあり、
利用すべきかどうかは個々人が
どのような境遇にあるかによって変わります。
最適な選択をするには、
まずは自分がどんな状況にあってどんな生活を送りたいか、
自分の死後に遺される家族がどのような
環境に置かれるかを考えるべきと言えます。
その上でなおリバースモーゲージに
魅力を感じるのであれば、
利用を検討する価値はあると言えます。
一緒に学んでいきましょう！
