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長期臥床と寝たきりの違い:廃用症候群の予防と対策

多くの人が悩んでいるので今回はその解決策を紹介します。長期臥床とは、安静臥床が一定期間続く状態を指します。具体的な期間の定義はありませんが、1週間以上続く場合、長期臥床とみなすことが一般的です。この状態は身体活動量が低下し、様々な心身機能の低下を招きます。これを「廃用症候群」と言います。

一方、「寝たきり」という言葉は明確な学術用語ではありませんが、厚生労働省は「おおむね6ヶ月以上病床で過ごす者」と定義しています。つまり、長期臥床が続き廃用症候群を引き起こした状態が寝たきりといえます。

廃用症候群とは?

廃用症候群は、身体の不活動から直接的に筋・骨格系、心・血管系、呼吸器・消化器・泌尿器、精神・心理に影響を与えます。この病態はQOL(生活の質)の低下に直結するため、予防が重要です。

廃用症候群の予防方法

廃用症候群を防ぐためには、長期臥床を避けることが必要です。過去の医療では、重症患者に対して安静臥床が推奨されていましたが、現在ではその考えが改められ、早期離床と早期リハビリテーションが推進されています。2018年の診療報酬制度改定で「早期離床・リハビリテーション加算」が新設され、廃用症候群防止のために早期介入が重要視されています。

廃用症候群の種類と影響

廃用症候群の影響は多岐にわたります。以下に各影響について詳述します。

筋・骨格系への影響

  • 筋力低下: 長期臥床により筋力は1日あたり1~3%、1週間で10~15%、1ヶ月で約50%減少すると考えられています。
  • 骨萎縮: 長期臥床により骨密度が減少し、骨折リスクが高まります。
  • 関節可動域の縮小: 不動により関節周囲の軟部組織が変性し、関節可動域が制限されます。

心臓・血管系への影響

  • 起立性低血圧: 長期臥床により血管運動調節機能や交感神経活動が障害され、起立性低血圧のリスクが増大します。
  • 運動耐容能の低下: 20日間のベッド上臥床で最大酸素摂取量が26.4%減少します。
  • 血栓症や塞栓症のリスク増大: 長期臥床により深部静脈血栓症(DVT)や肺血栓塞栓症(PTE)のリスクが高まります。

呼吸器・消化器・泌尿器への影響

  • 呼吸器系: 臥位姿勢が横隔膜運動を妨げ、機能的残気量(FRC)が減少します。
  • 消化器系: 不動により腸管の緊張や蠕動運動が低下し、便秘の原因となります。
  • 泌尿器系: 骨量の減少と骨吸収の亢進により高カルシウム尿症が生じ、尿路結石のリスクが高まります。

精神・心理への影響

  • 社会的孤立と精神機能の低下: 社会との接触機会の減少により、抑うつ状態、意欲低下、認知機能の低下が進行し、やがて認知症に至ることがあります。

まとめ

長期臥床は廃用症候群を引き起こし、様々な心身機能の低下を招きます。予防には早期離床とリハビリテーションが重要です。今回の記事が長期臥床と廃用症候群の理解に役立ち、臨床での予防活動に貢献できれば幸いです。

この情報が皆さんのお役に立てば幸いです。

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