多くの人が職場で悩んでいる「意欲の低下したベテランが停滞し、意識の高い若手が早期に辞めてしまう」状況は、適切なコミュニケーションとフィードバックで改善できる場合が多いです。今回はその解決策についてご紹介します。
年上部下と若手部下のWILLの重要性
部下が何を望んでいるか、どのような目標を持っているかを理解せずにフィードバックを与えても、効果は期待できません。特に、年上の部下のモチベーションを再燃させたり、若手社員の退職を防ぐためには、「低下している年上部下のWILLを掘り起こす」「若手部下のWILLと会社のMUSTをすり合わせる」ことが不可欠です。
ナラティブアプローチの導入
ここで役立つのが「ナラティブアプローチ」です。ナラティブとは、文芸理論から発展した概念で、語り手の視点で紡がれる物語を指します。現在では、医療やカウンセリング、マーケティングなど多岐にわたる分野で活用されています。
部下の物語に焦点を当てる
部下が描く「人生のありたい姿」「仕事における自己認識」「会社生活の紆余曲折」「理想的なキャリアストーリー」などに着目することで、上司と部下のナラティブ（物語）を理解し、共通点を見つけ出します。このプロセスを通じて、上司と部下の関係性が劇的に改善される可能性があります。
年上部下のナラティブを理解する
特に、「働かないおじさん」と呼ばれる年上部下に対しては、彼らのWILLを引き出すために時間をかける必要があります。多くの年上部下は、悪意や怠惰ではなく、変化するビジネス環境に適応しきれず、積み上げてきた経験が通用しなくなっていることが原因でモチベーションを失っています。彼らの「ありたい姿」を理解し、尊重することが第一歩です。
部下のWILLを引き出す方法
部下に「今後どうなりたいか？」と問いかけることが重要です。「定年の日に後輩に惜しまれながら会社を去りたい」「自分が培った技術や知識をすべて伝えたい」「お客様に喜ばれる瞬間が原動力」など、個々のWILLを探り出します。上司も自己開示しながら共に話し合い、部下の希望を理解し、会社の期待を理解してもらうプロセスを踏むことが重要です。
共通のナラティブを見つける
部下のナラティブと上司や会社のナラティブがリンクするポイントを見つけることで、部下は自分のWILLと会社の期待を受け入れる準備が整います。これにより、内発的動機付けが高まり、継続的な行動変化が促進されます。
まとめ
ナラティブアプローチを用いることで、上司と部下の関係性を劇的に改善することが可能です。部下のWILLを尊重し、共通の目標に向かって共に歩む姿勢を持つことが、職場の健全な関係性を築く鍵となります。この情報が皆さんのお役に立てば幸いです。
