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2025年度PB黒字化の現実性とその影響:試算の裏側を解明

多くの人が「2025年度にプライマリーバランス(PB)の黒字化を達成する」という政府の見込みを信じています。しかし、実際のところ、この目標の達成は非常に難しいです。まず、PBの黒字化が本当に必要かどうかは議論の余地がありますが、いくつかの厳しい条件をクリアしなければならないため、実現はほぼ不可能です。

試算の真実

先日、内閣府が発表した「中長期の経済財政に関する試算(令和六年七月版)」が経済財政諮問会議に提出されました。この試算は実際の経済状況を反映したものではなく、官僚が「2025年度にPBを黒字化する」という指示に従って数字を操作した結果です。つまり、最初に「2025年度に黒字化しろ」という指示があり、そのためにどのように数字を操作すればいいかを考えた結果が試算に表れています。

報道の裏側

ある報道では次のように述べられています:

『国と地方の基礎的財政収支、税収増で「2025年度に黒字化」と政府試算…実現すれば34年ぶり』

しかし実際には、「税収増が要因でPB黒字化達成」ではなく、「PB黒字化の数字を作るために税収増にしなければならない」ということで、官僚が数字を操作した結果です。最初に「PB黒字化」があり、そのために数字を操作しているのです。そのため、私は実際の数字を見る前にはコメントしませんでした。

実際の数字

内閣府の試算によれば、2025年度にPB黒字化を達成するためには、以下のような非常に厳しい条件が必要です:

  1. 政府のPB赤字を2024年度の23兆円から8兆円へと15兆円削減する
  2. 地方のPB黒字を4.5兆円から8.8兆円へと拡大する
  3. 総計で2024年度の18.6兆円のPB赤字を、2025年度に0.8兆円の黒字にする

これを達成するためには、税収等の増加見込みを2024年度の77.1兆円から2025年度には85.8兆円と見積もり、8兆円の増加が見込まれています。つまり、少なくとも10兆円規模の歳出削減が必要です。

結論

このような試算は現実を反映したものではなく、国民経済に甚大な影響を及ぼす可能性があります。2025年度のPB黒字化は国民生活を犠牲にし、経済を縮小させるだけです。このような試算に振り回されることなく、まずは国民経済の成長と安定を優先するべきです。国民が豊かになり、経済が健全であれば、その時点のPBが黒字であろうが赤字であろうが、それが「適切」なのです。

この情報が皆さんのお役に立てば幸いです。