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肘関節の構造と機能:日常生活とスポーツでの役割とケア

多くの人が肘の痛みや不調に悩んでいるので、今回は肘関節について詳しく解説します。

肘関節とは?

肘関節は、肩の力強い動きと手の精密な運動制御をつなぐ重要な役割を果たす関節です。この関節は、物を持ち上げたり運んだりするだけでなく、転倒時に体を支えるクッションの役割も担っています。スポーツにおいては、ラケットやクラブを振る動作や、投球時の正確な手の位置調整においても、肘関節の適切な機能が不可欠です。しかし、肘関節はその重要性が見過ごされがちで、機能障害が発生しやすい部位でもあります。

肘関節の種類

腕尺関節(主たる肘関節)は、蝶番関節に分類されます。これは、尺骨の凸曲面が上腕骨の凹曲面にはまり込む構造で、一方向にのみ動く特性を持ちます。肘関節は膝関節に似た構造をしており、主に屈曲と伸展の動作を行います。

また、腕橈関節近位橈尺関節も肘に関連する重要な関節です。これらの関節は、前腕を回す動作(回内・回外)に関与します。腕橈関節は球関節であり、回内・回外のほか、屈曲・伸展にも関わります。近位橈尺関節は車軸関節であり、前腕の回内・回外を司ります。

肘関節の正常な可動域

日本整形外科学会によると、肘関節の正常な可動域は以下の通りです。

  • 屈曲: 145度
  • 伸展: 5度
  • 回内: 90度
  • 回外: 90度

肘関節を構成する骨

  • 上腕骨(じょうわんこつ): 肩から肘にかけての骨で、肘関節を形成する骨の一つ。上顆という部分に多くの靭帯や筋肉が付着し、肘の安定性を支えます。
  • 尺骨(しゃっこつ): 前腕の内側に位置する骨で、「滑車切痕」という構造を持ち、これが上腕骨滑車と適合して腕尺関節を形成します。
  • 橈骨(とうこつ): 前腕の外側に位置し、肘方位では細く、シリンダー状の形をしています。橈骨は尺骨と共に近位橈尺関節を形成します。

肘関節を支える靭帯

  • 内側側副靭帯: 上腕骨の内側上顆から尺骨に付着している靭帯で、肘を保護する役割を持っています。特に、外反や伸展・屈曲時に強い張力がかかり、肘の安定性を確保します。

肘関節を動かす筋肉

  • 前面の筋肉: 上腕二頭筋、上腕筋、腕橈骨筋があり、これらは肘の屈曲を担います。
  • 後面の筋肉: 上腕三頭筋は、肘の伸展を担当し、肩甲骨から始まる長頭と上腕骨後面から始まる外側頭・内側頭から構成されています。
  • 内側(尺側)の筋肉: 橈側手根屈筋、尺側手根屈筋、長掌筋が含まれ、手首や手指の屈曲を行います。
  • 外側(橈側)の筋肉: 橈側手根伸筋、尺側手根伸筋、総指伸筋が含まれ、手首や手指の伸展を行います。

肘関節は日常生活やスポーツにおいて非常に重要な役割を果たしているため、適切なケアとトレーニングがその健康を保つために不可欠です。この情報が皆さんのお役に立てば幸いです。

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