多くの人が腰の痛みに悩んでいるので、今回は腰関節について詳しく解説します。
腰関節とは?
腰関節、より正確には腰椎を中心とした腰部の構造は、上半身と下半身をつなぐ重要な役割を果たしています。この部分は、日常生活やスポーツにおいて多くの負担がかかるため、腰痛やケガが発生しやすい場所でもあります。腰椎は、脊髄を保護しつつ、上半身の動きを支え、体重を支える点で非常に重要です。
腰部の構成要素
腰部は、腰椎、椎間板、靭帯、脊髄と神経、筋肉といったさまざまな組織で構成されています。これらが連携して、腰部の機能を支えています。腰椎は胸椎に比べて可動性が高く、特に屈曲や伸展の動きが大きいですが、回旋には制限があります。
腰部の運動と可動域
腰部の運動は、胸椎と腰椎の関節の連動によって生じる小さな動きの連続で、総合的な可動域が重要です。屈曲と伸展では、上位の胸椎は可動域が小さく、下位の腰椎では大きくなります。一方で、側屈の可動域には大きな差はありませんが、回旋については腰椎での回旋がわずか10°前後しか起こらず、多くの回旋は胸椎で行われます。無理に腰部を回旋させると、ケガのリスクが高まります。
腰部の正常な可動域
日本整形外科学会によると、腰部の正常な可動域は以下の通りです。
- 屈曲: 45度
- 伸展: 30度
- 側屈: 40度
- 回旋: 40度
腰部を構成する骨
腰部は脊柱の一部で、椎骨という骨で構成されています。脊柱は、頸椎(7個)、胸椎(12個)、腰椎(5個)の椎骨からなり、腰椎は特に大きな体重を支えるため、最も頑丈です。
- 椎体: 椎骨の前面に位置し、体重を支える役割を持つ厚い円盤状の部分です。
- 椎弓: 椎体から後方に伸びる構造で、脊髄を囲むように形成されています。
- 椎孔: 椎体と椎弓で形成された空間で、脊髄が通ります。
- 棘突起: 椎弓の後方に突き出た部分で、背中の中央で触れる部分です。
- 横突起: 椎弓の側方に突き出た部分で、筋肉や靭帯が付着します。
腰部を支える軟部組織
腰椎は、靭帯や軟部組織によって支えられています。屈曲を制御する靭帯には、後縦靭帯、黄色靭帯、横突間靭帯、棘上靭帯、棘間靭帯があり、伸展を制動する靭帯には前縦靭帯があります。また、椎体間には椎間板があり、これは衝撃を吸収するクッションの役割を果たします。
腰部を動かす筋肉
腰部の筋肉は、主に腹筋と背筋で構成されています。これらの筋肉は、体幹部の運動や椎骨の安定性に関与し、上肢や下肢の動きにも影響を与えます。
- 腹直筋: 腹部を上下に走り、屈曲の動きを担います。
- 腹斜筋(内・外): 斜めに走る筋肉で、側屈や回旋の動きを行います。
- 腹横筋: 腹部を横に走り、腹部全体を支えます。
- 脊柱起立筋: 背筋群であり、体を伸展させる役割を持ちます。
- 多裂筋: 深部に位置し、腰椎の安定性を高めます。
- 広背筋と大殿筋: 胸腰筋膜を介して腰部に連結し、上半身と下半身をつなぎます。
腰部と骨盤の関係
腰部と骨盤は互いに影響を与える関係にあり、骨盤の前傾や後傾は腰椎の屈曲や伸展に影響します。骨盤がニュートラルポジション(中間位)にあることが理想ですが、日常生活で前傾や後傾のどちらかに偏ると、腰部に過度な負担がかかり、ケガのリスクが高まります。
骨盤の前傾が強くなると反り腰になり、腰部への負担が増加します。逆に、後傾すると猫背になりやすく、腰部だけでなく背中や肩にも負担がかかります。適切な骨盤のポジションを維持することで、腰部のケガを予防することが可能です。
この情報が皆さんのお役に立てば幸いです。