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属人化の甘い罠: 業務のムダを解消するための6つのステップ

多くの職場で「自分にしかわからない特別な業務」があることが価値と考えられていますが、実際にはこれは属人化の問題を引き起こし、組織全体の効率を低下させるリスクをはらんでいます。属人化が進んだ環境では、業務が特定の人物に依存し、その人がいないと業務が停滞したり、ミスの責任が不明瞭になったりすることが多くあります。今回は、属人化の甘い罠とその解決策について解説します。

属人化の問題点

「この仕事は私にしかわからない」「私がいないと回らない」といった状況は、一見、その人の重要性を示しているように思えますが、実は組織にとって大きなリスクです。属人化が進むと、以下のような問題が発生します。

  • 業務の停滞: その人物が辞めたり、休んだりした場合に、業務がストップしてしまいます。
  • 責任の不明瞭化: ミスが発生した際に、誰が責任を負うべきかが不明確になります。
  • 士気の低下: 周囲の人々がその人物に遠慮や気遣いを強いられ、職場全体の士気が低下することがあります。
  • 効率の低下: 属人化が進むと、「忙しくて期日を守れない」「人手が足りない」といった主張に組織が対応せざるを得なくなり、結果的に業務の効率や質が低下します。

属人化を防ぐための業務棚卸し

属人化を解消するためには、業務の可視化が不可欠です。ここでは「業務棚卸表」を活用した6つのステップを紹介します。これにより、業務の透明性を高め、誰でも対応できる仕組みを作ることができます。

  1. 業務の大分類と中分類を洗い出す:
    1年間の業務の流れを思い出し、大分類と中分類をリストアップします。たとえば、「契約管理」という大分類には、「契約処理」「契約締結」といった中分類を設定します。
  2. 小分類(作業手順)を具体化する:
    中・大分類に含まれる具体的な作業手順を書き出します。たとえば、「契約処理」には「契約状況を営業に確認」「契約書作成」といった具体的な作業が含まれます。この段階では、手順通りに並べることがポイントです。
  3. 利用ファイルやシステムを明記する:
    各作業に関連するファイルやシステムを記載します。これにより、重複作業や無駄な転記作業を発見し、効率化の余地を見つけることができます。
  4. 大・中分類の見直し:
    小分類の全体像を見渡し、大・中分類の整理や統合、修正を行います。業務手順が明確になり、業務の全体像がクリアになるでしょう。
  5. 所要時間を可視化する:
    それぞれの作業にかかる時間を記録し、業務の効率性を評価します。これにより、改善の余地を見つけることができます。
  6. 年間所要時間を計算する:
    各作業の発生頻度を考慮し、年間の所要時間を算出します。これにより、業務全体の負荷がどの程度かかっているかを把握でき、必要なリソースを計画的に配分できます。

属人化を防ぐスキルを身につけよう

属人化した業務を誰でも行えるようにすることは、ビジネスパーソンとして重要なスキルです。業務棚卸しを通じて業務の透明性を高め、効率化を図ることで、組織全体のパフォーマンスを向上させることができます。これにより、職場のムダを減らし、健全な職場環境を築くことができるでしょう。

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