外貨預金の税金と申告の仕組み
外貨預金は、高金利や為替差益を狙える魅力的な投資手段ですが、利益が確定した際には税金がかかります。円預金とは異なる課税の仕組みがあるため、事前に理解しておくことが大切です。この記事では、外貨預金の利益の種類、税金の種類、申告が必要なケースなどをわかりやすく解説します。
外貨預金で得られる2つの利益
外貨預金で期待できる利益には、主に以下の2つがあります。
1. 預金利子
外貨預金でも円預金と同様に利子が発生します。例えば、年利5%の米ドル預金に1万米ドルを預けると、1年後に500米ドルの利子が得られます。
2. 為替差益
外貨預金は、円を外貨に換えて預け入れ、払出時に再び円に換えるため、預入時と払出時の為替レートの差で利益が生じることがあります。たとえば、預入時に1米ドル=150円だったものが、払出時に170円に上昇していれば、その差で利益が出ます。
例
預入額: 1万米ドル × 150円 = 150万円
払出額: 1万米ドル × 170円 = 170万円
為替差益: 20万円(170万円 – 150万円)
外貨預金にかかる税金の種類
外貨預金で得られる利益には、利子と為替差益があり、それぞれ異なる課税方式が適用されます。
1. 利子にかかる税金
外貨預金の利子は「利子所得」として扱われ、以下の税率が適用されます。
- 所得税 15%
- 住民税 5%
- 復興特別所得税 0.315%
合計税率は20.315%で、利子が発生した際に自動的に源泉徴収されます。そのため、利子に関しては確定申告は基本的に不要です。
2. 為替差益にかかる税金
為替差益は「雑所得」として扱われ、他の所得と合算されて総合課税**の対象となります。累進課税が適用され、所得が多いほど税率が高くなります。
【所得税の累進税率】
- 課税所得195万円以下: 税率5%
- 課税所得195万円超〜330万円以下: 税率10%
- 課税所得330万円超〜695万円以下: 税率20%
- 課税所得695万円超〜900万円以下: 税率23%
- 課税所得900万円超〜1,800万円以下: 税率33%
- 課税所得1,800万円超〜4,000万円以下: 税率40%
- 課税所得4,000万円超: 税率45%
為替差益の税金の計算方法
為替差益が発生した場合、その利益は雑所得として他の所得と合算され、総合課税されます。損失があればそれを差し引いて計算します。
雑所得の計算式
雑所得 = 為替差益 - 他の損失
外貨預金以外にも、他の雑所得がある場合は、それらを合算して課税されます。
確定申告が必要な場合
外貨預金の利子は源泉徴収されるため、申告は不要です。ただし、為替差益が発生した場合、基本的に確定申告が必要です。
【確定申告が不要なケース】
以下の条件を満たす場合は、為替差益が発生しても確定申告は不要です。
- 年収2,000万円以下の給与所得者で、給与以外の所得(為替差益など)が年間20万円以下。
- 年金収入が400万円以下で、年金以外の所得が年間20万円以下。
- 年間の所得が48万円以下。
これらの条件に該当する場合、為替差益についての申告は必要ありませんが、住民税の申告は必要になることがあります。
住民税の申告
確定申告が不要でも、住民税は別途課税されることがあるため、市区町村への申告が必要です。申告を怠ると後から追徴される可能性があるため、注意が必要です。
まとめ
外貨預金では、利子所得と為替差益の2つの利益が得られ、それぞれ異なる税金が課されます。利子所得は自動的に源泉徴収されますが、為替差益は雑所得として総合課税され、場合によっては確定申告が必要です。外貨預金の利益が発生した際には、しっかりと申告と納税の準備をしておくことが大切です。
この情報が皆さんのお役に立てば幸いです。