多くの人が国債の発行や金利の問題に悩んでいます。
最近の議論では「国債金利の上昇が財政を圧迫する」という声が多く聞かれますが、
これは事実を一部誇張して伝えている側面があります。
実際、すぐに財政危機に陥るかのような印象を与えていますが、
それは正確ではありません。
この記事では、
国債金利と政策金利の違いを整理し、
この議論の背景をわかりやすく説明します。
財務省と政治家の主張
立憲民主党の野田氏、枝野氏、泉氏などの政治家たちは、
財務省が懸念する「金利上昇による財政の硬直化」に対して警鐘を鳴らしています。
特に、野田氏は「利払い費の増加が他の政策を圧迫する」と述べ、
枝野氏も「国債価格の下落や金利の高騰が経済を不安定にする」と発言しています。
これに対し、
泉氏も金利の上昇が財政に悪影響を与える可能性を指摘しています。
これらの発言は一見正当なように聞こえますが、
実際には「国債金利」と「政策金利」を混同している点で問題があります。
ここで重要なのは、
財務省が「金利のある世界」という誤ったイメージを広めていることで、
多くの混乱が生じているということです。
「金利のある世界」という誤解
まず、日本はもともと「金利のある世界」に存在していました。
過去の長期国債金利(10年物)は0.8%前後で推移しており、
ゼロ金利の時代が続いていたわけではありません。
また、2023年に日銀がマイナス金利政策を終了し、
金利を引き上げた際も、
それが即座に国債金利に影響するわけではないのです。
政策金利は主に短期金利で、
市中銀行が日銀当座預金でやり取りする無担保コール翌日物金利のことを指します。
一方、国債金利は長期金利で、
需給や市場の期待、インフレ率など複数の要因によって決まるため、
政策金利の変動が直接国債金利に反映されるわけではありません。
国債金利の現実と誤解
実際に、
日銀が政策金利を引き上げた直後に
一時的に長期金利が1%を超えることはありましたが、
その後は市場の動きによって再び低下しています。
これは国債の需要と供給が影響しているためです。
金利が上昇すれば、国債を購入したい投資家が増え、
結果として金利が下がるという市場の調整が働くのです。
しかし、多くの政治家やメディアは
「日銀の利上げ=国債金利の上昇」という単純な図式を描いています。
正しい「金利」の理解が必要
金利には政策金利、無担保コール翌日物金利、
国債金利、住宅ローン金利など多くの種類がありますが、
それぞれが異なる役割を果たしています。
にもかかわらず、
「金利が上がる」という表現だけが独り歩きしているため、
正しい理解のもとに議論が進んでいないのが現状です。
これからの財政運営を考える上で、
国債金利や政策金利について正確な知識を持ち、
冷静な判断を下すことが必要です。
「金利のある世界」という誤解に惑わされず、
金融政策の本質を理解することが、
健全な経済のために重要な鍵となるでしょう。