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公共事業費削減が日本を脅かす:インフラ未整備と災害リスクの現実

日本の公共事業費削減とインフラ問題がもたらす危機

多くの人が悩んでいるので、今回は日本の公共事業費削減と、それに伴うインフラ問題の深刻さについて考えてみましょう。

現在の公共事業費は、1998年のピーク時のわずか5分の2に減らされ、特に治水関係費の大幅な削減が目立ちます。このため、堤防の決壊や河川の氾濫が頻繁に発生する原因にもなっています。背景には、「公共事業悪玉論」が長年続いており、この誤った認識が改善されない限り、日本の国土や経済に明るい未来は望めません。

特に問題なのは、民主党政権時代(2009~2012年)の「コンクリートから人へ」のスローガン以降、公共事業費がさらに削減されていることです。加えて、毎年のように発生する台風や豪雨などの自然災害に対して、十分な防災対策が講じられていない現状があります。来年以降もこの傾向が続くと予想されますが、政府は公共事業費の大幅増額に対する具体的なビジョンを示していません。

また、インフラ整備も長らく放置されています。特に地方では、新幹線の整備が遅れており、1970年代に計画された17路線のうち、営業しているのは一部に過ぎません。高速道路網もドイツのアウトバーンと比較すると非常に不十分で、地方経済の沈下や災害時の対応の遅れを引き起こしています。

さらに、インフラの老朽化も深刻です。財政難により、多くの自治体が老朽化した橋を再建せずに撤去している状況が続いており、2023年には全国40万橋のうち43%が築50年を超え、2033年には67%に達する見込みです。これらの老朽化したインフラが災害時に致命的な結果を招く可能性があります。

例えば、2018年7月の西日本豪雨では、堤防の脆弱性が認識されていたにもかかわらず、護岸工事が財政上の理由で進められず、結果として51人が犠牲になりました。地方自治体が財政難でインフラ整備を放棄している現状は、政府が地方交付税交付金を増やすことで解決可能ですが、財務省の緊縮財政方針がそれを阻んでいます。

このような問題に対し、人口減少を理由に挙げる議論もありますが、人口減少自体は緩やかであり、直接的な影響は少ないはずです。むしろ、東京一極集中や地方の過疎化という具体的な政治課題として取り組むべきです。

最後に、科学技術予算の削減も大きな問題です。文部科学省が予算の分配において力を発揮できない現状が、科学技術の発展を阻んでいるのです。しかし、予算を限られた範囲で分け合うという発想では、この問題は根本的に解決できません。

この情報が皆さんのお役に立てば幸いです。