経済の話題

種子法廃止が日本農業に与える打撃と自治体の反発

多くの人が悩んでいるので、今回は「種子法廃止」が日本の農業に与える深刻な影響について解説します。

2017年3月に唐突に国会を通過し、2019年4月1日から施行された「主要農作物種子法(種子法)」の廃止は、日本の農業に壊滅的な打撃を与えかねない政策です。この法律は、稲、麦、大豆の種子の開発・生産・普及を都道府県に義務付け、質の高い種子を安価で農家に提供するために必要なものでした。種子法に基づいて、都道府県は試験研究や種子の審査、遺伝資源の保存などを行い、安定した農業生産を支えてきたのです。

しかし、政府は「役割を終えた」「国際競争力のために民間との連携が必要」との理由で廃止を強行しました。しかし、ここで問題となるのは、連携する「民間」とは主にアメリカの外資系企業、特に遺伝子組み換え作物を大量生産しているモンサント(現バイエルン)やデュポンなどの巨大企業です。これらの企業は、世界の種子市場で大きなシェアを占めており、モンサントとデュポンだけで38%を占めています。

この状況下で「国際競争力」を強調するのは、外資系企業に日本の種子市場が支配されることを意味します。自国の農業を守るための法的な枠組みを廃止することが、日本の食料安全保障や農業の持続可能性にどれだけのリスクをもたらすかは明白です。

さらに、この問題には、自家増殖を一律禁止する内容を含む「種苗法改正案」が2020年に提案されました。これは、農家が自ら保存した種子を再利用できなくする可能性があり、農家の負担がさらに増大します。

しかし、一つの希望として、全国の自治体がこの流れに反発しています。山田正彦氏の報告によれば、種子法に代わる「種子条例」がすでに13道県で成立し、さらに22道県で来年までに成立する見込みです。これにより、地方レベルでの種子の保護と普及が再び強化される可能性があります。

この情報が皆さんのお役に立てば幸いです。