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「電力自由化と固定価格買い取り制度のリスクとその影響を考える

電力自由化と固定価格買い取り制度の問題点

多くの人が悩んでいるので、今回は「電力自由化」と「固定価格買い取り制度(FIT)」の問題点について考えてみましょう。電力の自由化は1990年代に始まり、2016年に家庭用電力も含めた全面自由化が行われましたが、政府はこの自由化が「なぜ良いのか」を明確に説明できていません。自由化により電気料金が低下すると期待されましたが、実際には電力自由化を進めた英国やドイツでは逆に料金が上昇しており、期待されていた効果は出ていません。

また、アメリカでは発送電分離が進んだ結果、大規模停電や災害時の復旧の遅延が問題となり、現在では15州とワシントンD.C.に限定されるようになりました。電力は生活に不可欠な公共財であり、安定した供給を実現するためには、発電から供給までの全過程を総合的に管理する体制が求められます。日本がこのような欧米で既に反省されている政策を周回遅れで取り入れていることは、大きなリスクを伴います。

次に、固定価格買い取り制度(FIT)の問題点についても触れておきましょう。この制度は2012年に導入され、再生可能エネルギーの普及を目的として、電力会社が高額で電気を買い取る仕組みですが、太陽光発電が中心となっているこの制度には多くの欠陥があります。日本の気候条件では安定した発電が難しく、稼働率はわずか15%程度です。また、太陽光発電に必要な土地面積も膨大であり、原発1基分の電力を賄うためには、山手線内部の面積が必要とされています。

この制度を利用して利益を狙う企業が乱立し、森林が無残に伐採される事態が発生しました。さらに、電力会社が供給過多や不安定供給を理由に買い取りを拒否するケースも増えています。一方、消費者には「再エネ賦課金」が課されており、この費用負担に不満を感じる人も少なくありません。賦課金は多少減少しているものの、発展の見込みが薄い再生可能エネルギーに対してこのような費用がかかることには疑問が残ります。

このFIT制度は、2017年に見直しが行われ、価格の上限設定や入札制度が導入されましたが、太陽光発電自体が今後も日本の主力エネルギーとして望ましい選択肢ではないことに変わりはありません。

この情報が皆さんのお役に立てば幸いです。

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